【第5話】リーダーとは、何をする人?「ようやるわ」から「一緒にやろう」へ
更新日:8月13日
今期、江戸トーストマスターズクラブでは、「Creative Challenge」をスローガンに掲げました。新しいことを考え、小さく試し、仲間と学び続ける一年にしたい。そのために会長として動き始めた私には、もう一つ考えなければならない問いがあります。

会長が誰よりも頑張れば、クラブは本当に動くのでしょうか。それとも、周りから「会長、ようやるわ」と眺められるだけになってしまうのでしょうか。
えどトリオのリーダー相談

えどぴよ:今期はCreative Challenge!新しい企画も、ブログも、クラブの仕組みづくりも、どんどん進めるピヨ!

えどまる:勢いがあるね。でも、その挑戦は、えどぴよ一人のものになっていないかな?

えどぴよ:ぼくが先に形にすれば、みんなも動きやすくなると思っているんだけど。

えどまる:そうなることもあるよ。でも、完成した答えが次々に出てくると、周りは「会長に任せた方が早い」と思うかもしれないね。

えどむすび:クラブの役員は、会社の仕事とは少し違います。お給料や人事評価で動くわけではなく、命令して動いていただくこともできません。

えどぴよ:頑張るほど、みんなが待つようになることもあるの?

えどまる:あるかもしれない。リーダーが全部を抱えると、仲間が考えたり、失敗したり、成長したりする機会まで抱えてしまうからね。

えどぴよ:じゃあ、リーダーって何をする人なんだろう?

えどまる:共通のビジョンを仲間とつくり、一人ひとりが自分で選んだ約束を実行できる環境を整え、その挑戦を支え続ける人だと思うよ。

えどむすび:最初から用意された答えに賛成していただくだけでは、「自分たちのビジョン」にはなりにくいものでございます。まず、それぞれがどんなクラブにしたいのかを聞くことが大切ですね。

えどぴよ:共通のビジョンを一緒につくって、その中で「自分はこれをやる」と選んでもらうんだね。

えどまる:うん。頼まれたから引き受けるのではなく、自分にとっての意味を見つけ、自分の余力に合う一歩を選ぶ。それが本当のコミットメントだよ。

えどぴよ:選んでもらったら、会長として支援しまくる!困った仕事は、ぼくが代わりにやるピヨ!

えどまる:代わりにやることだけが支援ではないよ。必要な情報を渡す、相談相手になる、仲間をつなぐ、障害を取り除く。でも、仕事の主役は本人のままにしておくんだ。

えどむすび:うまくいかないときにも、すぐ仕事を取り上げず、一緒に振り返れると安心でございますね。「今は難しい」と言ったり、約束を見直したりできる余白も必要です。

えどぴよ:でも、会長や仲間が本気で頑張っている姿を見たら、「私も頑張りたい」と思えることもあるよね?

えどまる:もちろんあるよ。努力は、本気でビジョンを大切にしている証拠になる。ただし、「ぼくがこれだけやったから、君もやるべきだ」になると、励みではなく圧力に変わってしまう。

えどむすび:「やらなければ申し訳ない」ではなく、「この仲間と一緒に実現したい」と思えること。その違いを大切にしたいものでございます。

えどぴよ:ぼくは最初の一歩を見せる。でも、一人でゴールまで走らない。途中で「お願い」と言って、みんなの考えを聞くよ。

えどまる:いいね。会長がいくつ仕事を終えたかではなく、会長が指示しなくても、仲間からいくつの行動が始まったか。それを成功の目印にしてみよう。

えどぴよ:まずは聞いてみる。「今期、江戸クラブをどんな場所にしたい?」そして、「自分で選べる小さな一歩は何?」

えどむすび:最後に、「どんな支援があれば始められますか」と添えましょう。今日のご縁が、誰かの自発的な一歩につながりますように。
「私がやった方がうまくいく」の先に
この問いを考えるきっかけになったのが、元ポーラ社長・及川美紀さんの動画です。
及川さんは、かつて自分の仕事も仲間の仕事も抱え、「私がやった方がうまくいく」と考えていたと振り返ります。しかし、それは仲間が仕事を任され、成長する機会を小さくすることでもありました。周囲から見れば、一人で走り続けるリーダーは「ようやるわ」と眺める存在になっていたのです。
及川さんの言葉を、動画でもご覧ください。
リーダーとは、何をする人か
リーダーとは、共通のビジョンを仲間とつくり、一人ひとりがその意味を自分の言葉で理解し、自ら選んだ約束を実行できる環境を整え、その挑戦を支え続ける人です。
先頭で全部を処理する人ではありません。進む方向を示し、相手の動機を聞き、必要な情報や権限を渡し、障害を取り除く。そして、仲間が自分の足で進む時間を待つ人です。
Toastmasters Internationalの教材「Motivating People」も、仲間のニーズに配慮し、意欲が生まれる環境をつくることを扱っています。「Delegate to Empower」では、単に作業を割り振るのではなく、仕事と責任を効果的に委ねることを学びます。
会社とは違う、ボランティア組織の難しさ
会社には、給与、人事評価、職務命令があります。一方、Toastmastersのクラブ役員はボランティアです。会長という肩書があっても、誰かを命令で動かすことはできません。
だからこそ、「どうすれば人を動かせるか」ではなく、「何なら、その人自身が動きたいと思えるか」を一緒に探す必要があります。
共通のビジョンをつくる。自分にとっての意味を見つける。できる範囲の一歩を自分で選ぶ。仲間に見守られながら試す。小さな進歩を認めてもらう。この循環が、給与や命令では生まれない力になります。
「支援しまくる」を、代行にしない
会長として、仲間が決めた挑戦はできる限り支援したいと思います。ただし、支援と代行は違います。
情報を渡す:判断に必要な資料や過去の経緯を共有する。
権限を渡す:目的と守る条件を確認し、方法は担当者に任せる。
人をつなぐ:一人で抱えず、相談できる仲間をつくる。
障害を取り除く:会長にしかできない調整や承認を引き受ける。
振り返りを支える:失敗を責めず、次に変える一つを一緒に探す。
進歩を称える:結果だけでなく、自分から動いた一歩を見つける。
そして何より、本人が選んだ仕事を、会長の完成度に合わせるために取り返さないこと。少し違うやり方や、遠回りする時間も含めて、その人の挑戦を守ります。
頑張りが、圧力ではなく勇気になる環境へ
リーダーや仲間が本気で動く姿には、人の心を動かす力があります。「あの人たちが大切にしている未来なら、自分も一緒につくりたい」と思えるからです。
ただし、長時間働いたことや自己犠牲を競うのではありません。何のために動いたのか、何が少し良くなったのか、誰の挑戦が次の挑戦につながったのかを見えるようにします。
「みんなが頑張っているから断れない」ではなく、「自分の考えも大切にされるから参加したい」。
そんな環境をつくることが、会長としての私のCreative Challengeです。
えどまるによる、かんたん概要
ボランティアのクラブでは、役職だけで人を動かすことはできない。
共通のビジョンは、会長が完成させて渡すのではなく、仲間と一緒につくる。
コミットメントは、本人が意味と余力に合わせて選ぶ。
会長の支援は、代わりにやることではなく、動ける条件を整えること。
成功の目印は、会長の仕事量ではなく、仲間から自発的な行動が始まること。
今週の小さな一歩
次の三つの問いを、クラブの仲間に聞いてみます。
今期、江戸クラブをどんな場所にしたいですか。
そのために、自分で選べる小さな一歩は何ですか。
どんな支援があれば、その一歩を始められますか。
答えを急いでまとめず、まず聞くところから始めます。
次回予告
共通のビジョンと、一人ひとりが選んだ挑戦を、どうすれば一年の計画にできるのでしょうか。
次回の第6話では、CSP(クラブサクセスプラン)とクラブ役員会を取り上げます。CSPを会長の計画書や点数表にせず、みんなの約束を行動へ変える地図にする方法を、えどトリオと考えます。





















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